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留学生に一言: 金美齢(きん びれい)さん

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台湾出身の評論家、金美齢さんにインタビューをさせて頂きました。氏は台湾・台北生まれ。留学生として来日。現在JET日本語学校理事長。マスコミでも広くお考えを発信しておられます。

『私(金美齢)は1959年、留学生として来日し、いろいろな経緯から10年間大学に籍を置いて学ぶ一方、多くの大学で英語教育に携わりました。また日本語学校の運営にも関与し、夫婦共々、多くの留学生に接してきました。(註1)
その体験の中で感じますことは「自分は何をやりたいか、解らない」ままに過ごす若者、また、学ぶという事の覚悟がない学生が多いということです。 
学ぶことはそれ自体、楽しいことでもありますが、他の欲望を抑えることでもあり、現実には経済的な問題も伴います。本来、学ぶことは強い自覚と覚悟を伴うはずです。
ただ現在の学生の学ぶ覚悟の無さは、留学生に限られた事ではありません。現在では日本の学生を含む多くの若者が同じだと思います。

その原因は家庭において親は子供に対し小さい時から「優しく優しく」だから、子供は甘やかされ続け、覚悟が無くても生きていけるように育て上げられたからです。これら親の「優しさ」は本来不要なことです。このように成人してなお覚悟のない状態は人としては堕落していると私は思います。

漫然と過ごしているその結末は良いものではありません。そういう自分の人生をもう一度、設計するなら、それは若ければ若い時ほど良い。若いときこそ人生設計のチャンスです。自分ではどうすればよいか解らない若い人が多いですよ。

どこかの時点で、「自分の人生を自分で決め」なければ永遠に自分の方向付けが出来ないのです。 

「自分の人生を自分で決められる」ということは、実は本人に能力が必要とされます。 多くの能力を持って初めて、考えられる幾つかの選択肢の中から自分の進むべき方向を選ぶことが出来る権利が得られます。それこそがポイントです。人生には後から考えると危機であったともいえる時が多々あります。その危機を乗り越えたり、回避することは重要です。能力を高めることはその人にとって、最大の危機管理をすることそのものです。

若い時は、能力を高める、学ぶという素晴らしい特権を与えられている。私は「だからこそ、まじめに時間を有効に使いなさい」と若い人に言いたい。特に留学生は折角遠くからやって来て、良いチャンスを与えられたのだから、留学先の国の文化と技術・科学をしっかり学び取って欲しい。しっかり学んで帰るか、学ばずに帰るかで本人にも送り出した社会にも大きな違いが生じます。

留学・修学している時間と、日本という空間を100%活用する学生こそが「自分の人生を自分で決められる人」になるのではないかと考えております。 そういう能力を高める留学生活を是非とも過ごして欲しいですね。』

長く留学生の教育に携わってこられた金美齢さんの経験に裏づけされたご意見は論理的で、かつ留学生に対し厳しいながらも真の愛情で溢れていました。インタビューの間中、背筋をピンと伸ばされ、留学生について熱く語られました。別れ際には、「志を同じくする仲間として今後も留学生を共に支援してまいりましょう」とインタビュアーを勇気付けられ、あの素晴らしい笑顔と一緒に送り出して頂きました。

(註1)
日本留学の経緯、夫君、周英明氏(故人 東京理科大学名誉教授)との出会いと結婚、共に戦った台湾民主化運動、子育て、日本語学校運営そして周英明氏の病気と他界を回顧した『夫婦純愛』(2007年小学館)は氏の自伝的夫婦論・家族論である。氏の行動や発言を理解する上で好適な著作である。


金美齢さん
台湾・台北生まれ。台北市立第一女子高級中学卒業。1959年、留学生として来日。早稲田大学第一文学部英文学科卒業。早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位修了。ケンブリッジ大学客員研究員。JET日本語学校校長を務め現在、同校理事長。評論家。台湾民主化運動に参加したため、国民党政府のブラックリストにのせられ、無効になったままのパスポートを破り捨て、政治犯として手配されている国に、いつ送り返されるかわからないという厳しい生活を30年以上送ってきた。その覚悟ある人となりが放つ辛口の発言にはファンが多い。
李登輝氏(1943年京都大学に学ぶ)が台湾人初の中華民国総統に就任後、急速な台湾民主化の流れの中でブラックリストも解除となり、1992年、31年ぶりに帰国が叶う。
厳しくも暖かい言葉で叱咤・激励する姿勢は今も一貫している。

http://www.kin-birei.com/